【第71回 小学校中学年 課題図書】キム・ファン 文、チョン・ジンギョン 絵「たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害」書評

たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害　/　キム・ファン 文、チョン・ジンギョン 絵

こちらの本は、2024年に童心社より出版されました、キム・ファン 文、チョン・ジンギョン 絵「たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害」です。

青少年読書感想文全国コンクールの課題図書

こちらの本は、第71回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書となっています。

課題図書はそれぞれ「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中学校」「高等学校」に分かれていまして、今回の「たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害」は「小学校中学年」の課題図書です。

■小学校低学年の部

題名	著者	出版社
ライオンのくにのネズミ	さかとく み雪 作	中央公論新社
ぼくのねこポー	岩瀬成子 作 松成真理子 絵	ＰＨＰ研究所
ともだち	リンダ・サラ 作 ベンジー・デイヴィス 絵 しらいすみこ 訳	ひさかたチャイルド
ワレワレはアマガエル	松橋利光 文・写真	アリス館

■小学校中学年の部

題名	著者	出版社
ふみきりペンギン	おくはらゆめ 作・絵	あかね書房
バラクラバ・ボーイ	ジェニー・ロブソン 作 もりうちすみこ 訳 黒須高嶺 絵	文研出版
たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害	キム・ファン 文 チョン・ジンギョン 絵	童心社
ねえねえ、なに見てる？	ビクター・ベルモント 絵と文 金原瑞人 訳	河出書房新社

■小学校高学年の部

題名	著者	出版社
ぼくの色、見つけた！	志津栄子 作 末山りん 絵	講談社
森に帰らなかったカラス	ジーン・ウィリス 作 山﨑美紀 訳	徳間書店
マナティーがいた夏	エヴァン・グリフィス 作 多賀谷正子 訳	ほるぷ出版
とびたて！みんなのドラゴン：難病ＡＬＳの先生と日明小合唱部の冒険	オザワ部長 著	岩崎書店

■中学校の部

題名	著者	出版社
わたしは食べるのが下手	天川栄人 作	小峰書店
スラムに水は流れない	ヴァルシャ・バジャージ 著 村上利佳 訳	あすなろ書房
鳥居きみ子：家族とフィールドワークを進めた人類学者	竹内紘子 著	くもん出版

■高等学校の部

題名	著者	出版社
銀河の図書室	名取佐和子 著	実業之日本社
夜の日記	ヴィーラ・ヒラナンダニ 著 山田 文 訳 金原瑞人 選	作品社
「コーダ」のぼくが見る世界：聴こえない親のもとに生まれて	五十嵐 大 著	紀伊國屋書店

「たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害」のあらすじ

人間の体温が2℃あがったら、体中のから力が抜けて何もできなくなりますよね。

もし体温が2℃以上あがったら、とても危険なサインだから、病院に行かなくてはいけません。

例えばこれが、人間以外のいきものだったらどうでしょうか。

魚は自分で体温調節ができません、なので海水の温度がとても重要です。

魚にとっての2℃は、人間が感じる20℃くらいの大きな違い

もし海水の温度が2℃あがったら、魚たちは自分の生きられる温度の海を探して命がけで大移動します。

また海水の温度は、サンゴ礁にとっても大切です。

もし海水の温度が2℃上がったら、サンゴの周りの植物プランクトンがいなくなります。

すると植物プランクトンから栄養をもらえないサンゴは、白くなって死んでしまいます。

サンゴが死ぬと、サンゴの粘液を食べていた小さな生き物はいなくなり、この小さな生き物を食べていた他の生き物たちもいなくなります。

たった2℃で、いのちが溢れていた海は死の海になってしまうのです。

また海水の温度が2℃上がったら、頑丈な流氷ができなくなります。

するとシャチが流氷を割ってしまい、流氷に住むゴマフアザラシを食べてしまいます。

海水の温度が上がり続けると、ゴマアザラシはいなくなるかも知れません。

では海水以外の温度、例えば地球の気温ならどうでしょう？

もし地球の気温が2℃上がったら、植物はよく育ちません。

そしてチョウは自分が食べる植物がよく育たないと死んでしまいます。

虫は大移動をはじめ、今までいなかった外来の虫が現れ、冬の間に凍え死ぬ虫が少なくなり、虫の数が爆発的に増えます。

そうすると、野菜や米はもちろん環境にも大混乱をもたらし、人間にも計り知れない被害が起こるでしょう。

たった2℃ですが、そのたった2℃地球の気温が上がると

地球でくらす生き物みんなのいのちが、危なくなるのです。

「たった２℃で…：地球の気温上昇がもたらす環境災害」を読んだ感想

地球温暖化の話は新聞やニュースでよく聞きますが、正直あまりピンときていませんでした。

ですがあらためてこの本を読んでみて、いやはや地球温暖化は恐ろしいなと思いました。

例えば、今日の気温が昨日と比べて2℃高い時に、どう感じるでしょうか。

特に日本は季節の移り変わりもありますし、2℃くらいであれば特に気にしないかも知れません。

ですが、人間以外の植物や動物はそのたった2℃によって、甚大な影響を受けるんだということを知りました。

特にこの本を読んでて驚いたのがウミガメの産卵の話です。

ウミガメはメスが海岸の砂浜に卵を産んで、砂浜の地熱で卵をかえします。

ですがウミガメの卵はこの砂の温度によってオスとメスが決まり、砂の温度が低いとオス、高いとメスが産まれるそうです。

そしてアメリカのフロリダ州の海岸では、地球温暖化の影響でここ数年メスのウミガメばかりが産まれるそうです。

当然ですが、メスばかりだと交尾ができずに新しいウミガメも産まれないため、フロリダ近郊のウミガメの数がめっきり減ってしまったそうです。

そのほかにも、地球に住むさまざまな動植物が影響を受けており、なんと地球の平均気温が2℃上がると生き物の種が30％、4℃上がると40％が地球から永遠に消えてしまうそうです。

本当にたった2℃、体感だとたった2℃ですが、その2℃を超えないように私たち人間がやらなければいけないことはたくさんあるなと感じました。

そして、こういう危機的な状況に地球があるんだということを、そして環境問題に対してもきちんと正しい知識を持ってみんなで問題に向き合うということが大切なんだなと感じました。

この本の冒頭で、人間の体温が2℃上がると、とても普通の暮らしができないと書いてありました。

まさに、今の地球は人間と同じで体温が2℃上がる寸前のまさに病気の状態であり、私たちが一刻も早く手当をしなければならない状況なんだなと、この本を読んで思いました。