今回は大好きな作家「東野圭吾」さんの新作本を紹介します
マスカレード・ゲーム / 東野 圭吾
今回の小説は、2022年に集英社より出版されました、東野圭吾 著「マスカレード・ゲーム」です。
この本は東野圭吾の人気シリーズである「マスカレードシリーズ」の第四弾の小説となります。
- 東野圭吾原作の「マスカレードシリーズ」の概要
- 「マスカレード・ゲーム」のあらすじ、本を読んだ感想
東野圭吾のマスカレードシリーズとは
「マスカレードシリーズ」とは、「ホテル・コルテシア東京」というホテルを舞台にした推理小説です。
このホテルに捜査一課の刑事「新田浩介」がホテルマンとして潜入捜査し、コルテシア東京のコンシェルジュで働く「山岸尚美」と一緒に事件を解決するという物語です。
ちなみにマスカレード・シリーズに関しては、公式サイトがあります。
マスカレード・ホテル
マスカレード・シリーズ第一弾です。
都内で不可解な連続殺人事件が起こります。
ただ犯行の動機もターゲットも不明のまま、次の犯行現場に「ホテル・コルテシア東京」が予告されます。
そして、その潜入捜査として警視庁の若き刑事の新田と、細かな観察眼を持つホテルのフロント働く山岸でコンビを組み、事件の解決に迫ります。
なお、こちらの作品は木村拓哉、長澤まさみ主演で映画化されています。
マスカレード・イブ
マスカレード・シリーズ第二弾です。
こちらはシリーズ初の短編集です。
内容は、新田と山岸が出会う前の、新人時代を含めたそれぞれのエピソードとなっています。
マスカレード・ナイト
マスカレード・シリーズ第三弾です。
マスカレード・ホテルから3年後、あるマンションの一室で若い女性の他殺体が発見されます。
そしてホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティに犯人が現れるという密告状が警視庁に届き、新田は再びホテルマンとして潜入捜査にあたります。
なお、こちらも「マスカレード・ホテル」に続いて映画化されています。
主演は前回から引き続き、木村拓哉と長澤まさみが務めています。
マスカレード・シリーズの累計発行部数は、第1作目の映画公開前である2018年12月時点で350万部を記録していますので、大人気の小説です!
「マスカレード・ゲーム」のあらすじ
今回もネタバレにならないように、冒頭のあらすじのみ書きますね
東京のとあるアパートの1室で男性の遺体が見つかります。
男性の名前は「入江悠人」、胸をナイフで刺されており即死状態でした。
ただ聞き込みによると、特にトラブルに巻き込まれておらず、敵対する人物もいませんでした。
また部屋に財布があり、他に盗まれたものもないことから金銭目的の犯行ではないことが判明します。
ただ入江は17歳の時に傷害事件で逮捕されており、当時被害者だった大学生は暴行を受けた後に植物状態となり、事件から1年後に亡くなります。
そしてその被害者の母親「神谷良美」が入江に怨恨を持つ人物ということで、捜査線上に浮かび上がります。
ですが、彼女には事件発生時にアリバイがありました。
そして、同じころに狛江市の児童公園で「高坂義広」という40代の男性がナイフで刺殺されるという事件が起こります。
この高坂も20年ほど前に強盗殺人を犯し、懲役18年の実刑判決が出ていました。
ちなみに、強盗殺人なのに懲役18年で済んだ理由は、犯行時に高坂が20歳と若く更生の余地があると裁判で判断されたからです。
それから、今度は吉祥寺の路上で「ムラヤマシンジ」という男性がナイフで胸部を刺されて死亡する事件が起こります。
このムラヤマにも前科があり、6年前に公表罪で懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けていました。
ムラヤマは別れた元恋人の全裸写真をインターネット上で公開しており、被害者は当時中学3年生の少女で、彼女は1年間学校を休んだ後に自殺しました。
これら3つの事件に共通することは4つ。
- 殺害方法がナイフを使った刺殺である
- 被害者の男性は全て前科があり、被害者が起こした事件によって人が直接もしくは間接的に死亡している
- その死亡した人の親族など被害者の男性に強い怨恨を持つ容疑者が存在する
- その容疑者全員に犯行時にアリバイがある
そして警察はこれらの状況から1つの仮説を立てます。
それは、容疑者は全員なんらかの方法でお互い繋がっているのではないか。
そして犯行を別の容疑者が肩代わりし、直接の容疑者は完璧なアリバイ工作を作るいわゆる「ローテーション殺人」をしているのではないかと。
そして容疑者全員が警察の監視下に置かれます。
そしてある日、容疑者の一人である「神谷良美」がホテル・コルテシア東京に宿泊します。
そこで警察がホテルの予約者を調べると、高坂が犯した強盗殺人の被害者の長男である「森元雅司」、そしてムラヤマが犯したリベンジポルノで自殺した少女の父親である「前島隆明」が「神谷良美」と同じ日にホテル・コルテシア東京に宿泊予約していることがわかります。
これは偶然だろうか。
いや同じ手口の殺人事件の容疑者が同じ日に同じホテルに泊まるというのは、偶然ではなく何か理由があるのではないか。
それを調べるため、新田は再びホテル・コルテシア東京に潜入捜査を開始します。
「マスカレード・ゲーム」を読んだ感想
今回のテーマは「罪と罰の乖離」だと感じました。
例えば、少年法だと同じ罪でも未成年ということで罪が軽くなったり、殺人事件でも精神鑑定で罪を免れたりなど、実際同じ罪でも人によって罰が異なるということは往々にしてあります。
これは被害者の親族からするとやりきれないと思います。
ですが、それはあくまで被害者側の目線。
もしこれが、加害者側の目線だったとしたらどうでしょうか。
例えば人を殺したのに、年齢や精神などの理由によりそれ相応の罰を受けれなかった場合、果たして加害者本人はどう思うでしょうか。
ラッキー程度にしか思わない人もいると思いますが、中には罪を償えなかったことを悔やむ人もいます。
加害者の中での「罪と罰の乖離」
そして、被害者と加害者との「罪と罰との乖離」
こういった構図が、この作品の根幹にあるなと読んでいて感じました。
また、こういった人と少し目線をずらして事件の物語を描く東野圭吾もすごいなと思いました。
そして、今回マスカレード・シリーズの第四作目ということで、過去の作品と同様に新田がホテルで潜入捜査をするというところが一つの見どころになっています。
ただ、ホテルの勝手もだいぶ分かっているようで、ホテルマンとしての対応も慣れてきたなという印象でした。
そして、今回新たなキャラクターが登場します。
それが、捜査一課の女性係長の「梓警部」
彼女は女性ながら若くして捜査一課の係長まで昇進した、かなりやり手の刑事。
例えばレストランに容疑者が現れると、私服警官を隣に座らせて隠しカメラで撮影し常に監視したり
容疑者が外出中に、ハウスキーパとして部屋に入って盗聴器を仕掛けたりなど
とにかく正義感に溢れているが故に、犯人逮捕には手段を選ばないタイプです。
なので、ホテルよりの新田警部と梓警部がたびたび捜査方法をめぐって衝突します。
ただ最初は衝突していた二人ですが、お互い犯人逮捕するという目的は同じなため、次第に協力しあうようになります。
そのあたりの話の展開も読んでいて楽しかったです。
そして最大の見所は、なんと言ってもラストシーンです。
今回のマスカレード・ゲームのラストでびっくりするような展開が待ち受けています。
正直、このラストの展開にはびっくりしました。
恐らくこのマスカレード・シリーズは続くと思いますが、早くも次回の作品に期待しちゃいます
その辺りも期待して読んでいただけると良いかと思います。