久しぶりの書評ブログとなりますが、今回は超有名な本を紹介したいと思います。
ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 / アダム・グラント
こちら、2016年に出版されました、アダム・グラント著「ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代」という本です。
- ORIGINALSの概要、本を読んだ感想
- オリジナルな人とは何かが分かる
- オリジナルな人になるにはどうすれば良いかが分かる
この本を知ったきっかけ
この本を知ったきっかけは、メンタリストDaigoさんがYouTubeで今までで読んだ本の中でオススメの3冊をあげており、そこで知りました。
Daigoさんって「ウィッシュ」の人じゃなくて、例の発言をされた方ですね
そうそう、そっちのDaigoさんです。
元々Daigoさんは「1日に10冊本を読む」とおっしゃっており、普段から相当な読書をされる方みたいです。
で、動画でこの本を紹介された時に、Daigoさんがおっしゃってたのが
「ぶっちゃけ、この本は10万円の価値があります」
そっか、めちゃめちゃ本読む人が「10万円の価値がある本」っていうくらいだから、相当読む価値のある本なんだろうな
というのが、この本を読むきっかけでした。
本の概要
この本はタイトル通り「オリジナル」な人になるためにはどうすれば良いかという方法が書かれた本です。
「オリジナルな人」とはどういう人か
そもそも「オリジナルな人」とはどういう人でしょうか
はい、そこ重要ですよね。
ちなみにこの本で「オリジナルな人」は、以下と定義されています。
「オリジナリティ」とは、ある特定の分野において、その分野の改善に役立つアイデアを導入し、発展させることを意味する。
そしてオリジナルな人とは「みずからのビジョンを率先して実現させていく人」である。
ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
例えば、芸術分野で成功をおさめる人や、面白いテレビ番組を作る人、また時代の流行になるようなヒット商品を作ってしまうような人などが「このオリジナルな人」に該当します。
なので、もう少しわかりやすく言うと
- 人が思い付かないような有益なアイデアを思いつく
- そのアイデアが多くの人に知れ渡り、成功をおさめる
といった、いわゆる「自分のアイデアを実行させた人生の成功者」を指すのが、このオリジナルな人というイメージです。
この本は、色々な分野でのさまざまな「オリジナルな人」を研究した結果、オリジナルな人にはある共通点があることが分かります。
そしてその共通点とは何か、というのをさまざまな角度から解明した本です。
オリジナルな人は普通の人
と、その前に1つ誤解がありまして。
我々が一般的に思う「オリジナルな人」とは、以下のような人を想像するかと思います。
- 人とは違う才能をもった人
- われわれ普通の人とは全く違う発想をする人
なのですが本書を読んでみると、時代を変えたり歴史に名を残すような成功者でも案外普通の人だというのがわかります。
本書でも以下のように述べています。
私は本書で、オリジナルな人たちは私たちが思うよりもずっとふつうの人たちなのだ、ということを示していきたいと思う。
ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
なので、本書は「オリジナルな人=私たちとは次元の異なる人」ではなく
「オリジナルな人=私たちとなんら変わらない普通の人」と書かれています。
なので、この本を読めば
「私たちのような普通の人でも、オリジナルな人になれますよ」
といういわば「普通の人がオリジナルな人になる方法」が書かれた本だと言えます。
これがこの本が10万円の価値のある本と言われる理由だと言えます。
オリジナルな人になるには
この本に出てくるオリジナルな人というのは、おおむね以下のような特徴があります。
- リスクを嫌いなるべく取らない、またはリスクを分散させて慎重に行動する
- とりわけ制作の質が優れているわけではないが、制作数が人に比べて多い
では、1つづつ見ていきましょう
リスクを極力取らない
一般的に「成功するためにはあらゆるリスクを冒すことが必要だ」という考えがあると思います。
ですが、よく「オリジナルな人」を見てみると、案外慎重に行動していることが多い。
例えば、この本で挙げられている例だと、以下のようなものがあります。
- ナイキの創業者だった「フィル・ナイト」は、ランニングシューズの販売を始める傍らで、会計士として仕事を続けていた
- スティーブ・ジョブズと一緒にアップルコンピュータを立ち上げた「スティーブ・ウォズニアック」はアップルコンピュータ設立後もヒューレットパッカードでエンジニアを続けていた
- Googleの創業者「ラリー・ペイジ」と「セルゲイ・ブリン」はGoogle創業をする前にスタンフォード大学院に進んでいる、理由は「Google創業より博士号を取れないことの方が不安だった」から
- クイーンのギタリスト「ブライアン・メイ」はバンドでギターを弾きながら大学で天体物理学の博士号課程に進んでいる
- グラミー賞受賞者の「ジョン・レジェンド」はアルバムリリース後の2年後まで経営コンサルタントの仕事を続けて、夜に音楽活動をするという生活をしばらく続けていた
つまり、これらは全て専業ではなく本業の傍らの副業として始めています。
こういう話を聞くと、確かに日本でもよく聞く話だったりします。
例えばミステリー作家の「東野圭吾」さんは元々デンソーの社員の傍ら小説を書いており、放課後でデビューした後にも1年ほど本業を続けています。
また、Official髭男dismの「藤原聡」さんも、メジャーデビュー前は鳥取県で銀行員として働きながらインディーズバンドとして音楽活動を続けています。
これらの話に共通すること、それはとにかく「リスクを取らない」ということ。
ちなみにアメリカで1994年から2008年の間に起業したアメリカ人のうち、本業をやめた人と本業を続けながら起業した人に分けて、その後の会社がどうなったかを調査しました。
その結果「本業を続けた起業家は、本業をやめた起業家よりも失敗の確率が33%低い」という結果がでたそうです。
つまり、リスクを嫌いアイデアの実現可能性に疑問を持っている人が起こした会社の方が存続する可能性が高く、大胆なギャンブラーが起こした会社の方が存続する可能性が低いのです。
なぜこういう結果になるのか。
それについて、アダム・グラントはこう言っています。
ある分野において安心感があると、別の分野でオリジナリティを発揮する自由が生まれる
ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
なので、何かを始める時はなるべくリスクを取らない方法で始めた方が、成功する確率がずっと上がるということが分かります。
質より量を求める
そしてもう一つこの本で面白かったのが、「セグウェイ」と「となりのサインフェルド」の話です。
「セグウェイ」が発明された時に、かの「スティーブ・ジョブズ」は「パソコン以来の驚異的な発明だ」と絶賛し、無報酬でいいのでこの製品に関わらせて欲しいと発明者に申し込んだそうです。
またアマゾン創業者「ジェフ・ベゾス」はセグウェイを見てすぐ「この商品は恐ろしく売れる」と太鼓判を押して製品の関与をしたそうです。
ですが、その後セグウェイはどうなったでしょうか。
名だたる経営者や投資家が大絶賛したセグウェイですが、現在街でセグウェイが走っているのを見かけるでしょうか。
ちなみにニュース雑誌の「タイム」はセグウェイをこう呼んでます。
「セグウェイは、この10年でトップテンに入るテクノロジーの大失敗」
ニュース雑誌「タイム」より
また「となりのサインフェルド」も当初パイロット版を視聴者に見せたところ、酷評の嵐だったそうです。
この番組を書いた脚本家は負け犬だ、こんな番組誰が見たいんだ
この番組って何が面白いのか全く理解できないです、これとんでもない失敗作ですね
と評価はお粗末の一言。
そして、パイロット版からなんとか放映にこぎつけましたが、評判は変わらず結果は散々。
当初はキャンセルになった別番組の代替として細々と放映していましたが、常に打ち切りの話が出ていました。
それくらいこの番組の評価は低かった。
それから10年後、この番組はどうなったでしょうか。
その番組「となりのサインフェルド」は視聴率調査で常に上位を独占し、10億ドルの収益をあげるまでに成長し、アメリカで最も人気の番組となり大ヒットとして躍進を遂げました。
テレビ雑誌の「TVガイド」は「となりのサインフェルド」についてこう書いています。
「となりのサインフェルド」は、史上最高のテレビ番組
テレビ雑誌「TVガイド」より
この2つのエピソードは何を物語っているのでしょうか。
それはオリジナルなものというのは「創作」ではなく「選定」が難しいということです。
要するに、すばらしいアイデアというのは人に正しく評価されるとは限らないということ。
もっと言うと、人間というのはいい加減な生き物なので、いいと思うものがダメだったり、逆にダメだと思うことが後々評価されるということが往々にしてあります。
これは評価する側だけじゃなくて、アイデアを出す側にも当てはまります。
例えば「このアイデアは面白い」と思ったものが全然成功しなかったり、逆に「このアイデアはどうかな」と思ったものが思いがけず成功したり。
とにかく創作者であろうが第三者であろうが、アイデアを正しく評価するのが非常に難しい。
では、オリジナルな人になるためのアイデアはどうやって出せばいいのでしょうか。
本書では、アイデアの出し方について以下のように述べられています。
より良い仕事をしたければ最小限の仕事しかしてはいけないものと考えられがちだが、これは間違っている。
それどころかアイデアの創出に関して言えば、大量生産が質を高めるための最も確実な道なのである。
ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
つまり「アイデアは質ではなく量を出すことが大事」ということ。
例えばロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による「最高のクラシック名曲50選」のリストに、モーツァルトが6曲、ベートーベンが5曲、バッハが3曲あげられています。
ですが、この一握りの傑作生み出すために、モーツァルトは生涯600曲、ベートーベンは650曲、バッハは1000曲以上を作曲しています。
また、箱根にピカソの美術館がありますが、行ってみると絵画以外にも彫刻や陶芸といったものすごい数の作品があります。
ですが、実際にピカソの作品で高く評価されたのはそのうちのごくわずかだったりします。
ある研究によると、ある分野における天才的な創作者は、同じ分野に取り組む他の人たちよりも、特に創作の質が優れているわけではないそうです。
ただ、大量に創作すると、多様な作品が生まれ、オリジナリティの高いものができる確率が高くなるのです。
本を読んだ感想
この本は、普通の人がいかに「オリジナルな人」になるかのヒントが書かれています。
上記に挙げたのはほんの一例で、他にも例えば
- アイデアを周りに受け入れてもらうにはどうしたら良いか
- アイデアを実行に移す絶好のタイミングはいつか
- アイデアを実行する際にどういった人と組むのが良いか
- オリジナルな人を育てる方法はどういったものがあるか
- オリジナルな集団を生み出す組織とはどういったものか
- アイデアを実行に移すエネルギーとはどういったものか
といった、オリジナルな人になるために必要な情報がエビデンスとともに具体的に書かれているため、非常に説得力のある内容となっています。
またその内容も、今まで固定観念で「こうだろう」と漠然と思っていた答えとまったく逆なことが書かれてたりして、今までの考え方は間違っていたんだなと改めて認識させられました。
また、このオリジナルな人と言うのは応用が広いと思いました。
例えば僕は細々とブログをやってますが「どうしたらブログでオリジナリティを発揮できるか」などでも参考になることも多く、非常に勉強になりました。
特に、以下のような人にも参考になるんじゃないかなと思いました。
- 現在お店をやっていて集客をしたいが良いアイデアが思いつかない
- SNSやYouTubeで人気者になりたいがどうすれば良いかわからない
- 会社で新しい商品開発に携わっているが斬新な企画が思いつかない
- 現在会社員で副業をやっているが収益が上がらず軌道に乗らない
「オリジナルな人」になりたい人は、読んでみる価値はある本だと思います。