今回は読書感想文全国コンクールの課題図書(高等学校の部)を紹介したいと思います
優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則 / ファン・ヨンミ 作、キム・イネ 訳
こちらの本は、2023年に評論社より出版されました、ファン・ヨンミ 作、キム・イネ 訳「優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則」です。
- 青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の概要
- 「優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則」のあらすじ、本を読んだ感想
青少年読書感想文全国コンクールの課題図書
こちらの本ですが、第70回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書となっています。
課題図書は「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中学校」「高等学校」に分かれていまして、今回の「優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則」は「高等学校」の課題図書になっています。
■小学校低学年の部
題名 | 著者 | 出版社 |
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アザラシのアニュー | あずみ虫 作 | 童心社 |
ごめんねでてこい | ささきみお 作・絵 | 文研出版 |
おちびさんじゃないよ | マヤ・マイヤーズ ぶん ヘウォン・ユン え まえざわあきえ やく | イマジネイション・プラス |
どうやってできるの? チョコレート | 田村孝介、立脇卓 写真 | ひさかたチャイルド |
■小学校中学年の部
題名 | 著者 | 出版社 |
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いつかの約束1945 | 山本悦子 作 平澤朋子 絵 | 岩崎書店 |
じゅげむの夏 | 最上一平 作 マメイケダ 絵 | 佼成出版社 |
さようなら プラスチック・ストロー | ディー・ロミート 文 ズユェ・チェン 絵 千葉茂樹 訳 | 光村教育図書 |
聞いて 聞いて!:音と耳のはなし | 髙津修、遠藤義人 文 長崎訓子 絵 | 福音館書店 |
■小学校高学年の部
題名 | 著者 | 出版社 |
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ぼくはうそをついた | 西村すぐり 作 中島花野 絵 | ポプラ社 |
ドアのむこうの国へのパスポート | トンケ・ドラフト 作 リンデルト・クロムハウト 作 リンデ・ファース 絵 西村由美 訳 | 岩波書店 |
図書館がくれた宝物 | ケイト・アルバス 作 櫛田理絵 訳 | 徳間書店 |
海よ光れ!:3・11被災者を励ました学校新聞 | 田沢五月 作 | 国土社 |
■中学校の部
題名 | 著者 | 出版社 |
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ノクツドウライオウ:靴ノ往来堂 | 佐藤まどか 著 | あすなろ書房 |
希望のひとしずく | キース・カラブレーゼ 著 代田亜香子 訳 | 理論社 |
アフリカで、バッグの会社はじめました:寄り道多め仲本千津の進んできた道 | 江口絵理 著 | さ・え・ら書房 |
■高等学校の部
題名 | 著者 | 出版社 |
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宙わたる教室 | 伊与原 新 著 | 文藝春秋 |
優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則 | ファン・ヨンミ 作 キム・イネ 訳 | 評論社 |
私の職場はサバンナです! | 太田ゆか 著 | 河出書房新社 |
「優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則」のあらすじ
韓国の進学校、トゥソン高校に首席で入学したパン・ジュノ。
ジュノの父親は医者でしたが、病気を患い、今は母親と2人で田舎で療養しています。
なので、ジュノは叔父と2人で暮らしています。
ジュノが通うトゥソン高校は進学校で、とにかく成績が全て。
正読室という設備の良い自習室も成績上位の数十名しか使えず、その他の生徒は教室で居残り勉強をします。
また生徒の中には、家で家庭教師を雇ったり塾に通ったりなど、とにかく成績を上げようとみんな必死に勉強しています。
ですが、ジュノの家庭は父親の病気の治療のためお金がなく、塾に通うことができません。
なので、首席で入学したジュノでしたが、この学校の競争についていけるのか不安になります。
そのころ、ジュノは同じ中学校出身の親友キム・ゴヌに誘われて、時事討論のサークル「コア」に入部します。
そこで、1年先輩のパク・ボナという博識で面倒見の良い先輩と、明るくて自分をしっかり持っている真っ直ぐな性格のノ・ユビンと出会います。
ジュノは、コアで出会った仲間達や親友のゴヌと一緒の時間を過ごすことで、少しづつですが学校の生活に馴染んでいきます。
ですが、1年生の1学期の間に、ジュノの成績は下がります。
ジュノの代わりに、学年で1番になったのが幼馴染のミン・ビョンソでした。
ビョンソとは小学校の時は仲良しでしたが、中学校で別々になってからは疎遠になっていました。
そして、入学早々にジュノと付き合っていたチョ・ハリムが、ジュノと別れたのち、今はビョンソの彼女だということを知ります。
この一件以来、ジュノはビョンソとの距離感を取るようになります。
一方、ジュノはコアの仲間であるユビンの明るくて真っ直ぐなところに惹かれていきます。
そして、ジュノはユビンと過ごす時間が次第に多くなります。
ですがある日ユビンから、1学期が終わったら転校することを聞かされます。
ユビンは、観光経営学科のある学校に転校し、卒業したら大学には行かず旅行会社に就職すること、そして将来は自分の会社をつくりたいという夢がありました。
ジュノには、自分の夢に向かって真っ直ぐに進むユビンがとても大人に見えます。
それに比べて、自分は何か夢や目標があるだろうか。
ジュノは自分がこのままただ勉強するだけでいいのか、本当にやるべきことがあるんじゃないかと悩み始めます。
そしてジュノは、1学期の間にある決心をします。
「優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則」を読んだ感想
高校生って大変だなぁと思いました。
この物語の主人公ジュノは、進学校であるトゥソン高校に首席で入学します。
そして入学早々に彼女もでき、順風満帆の高校生活と思いきや、勉強の毎日とテストの成績で全てが決まる学校生活に戸惑います。
そして、テストのたびに落ちていく成績、いつか自分は学校から追い出されるんじゃ無いかという不安に苛まれ、転校した方がマシなんじゃ無いかという不安な日々を送ります。
とにかく毎日が勉強。
成績1位の人は注目されるし、将来いい大学にも行ける。
そのためみんな必死で勉強するのですが、ふと考えます。
今は学校で必死で勉強をしているものの、将来やりたいことってなんなんだろって考えます。
そしてやりたいことを見つけて転校するユビンのことを羨ましいと、この人はすごいって考えるようになります。
そして他人と自分を比べて、自分は何のために勉強をやってるんだと落ち込みます。
そして、実は環境が悪いんじゃないかなと、自分も転校することを考えるようになります。
なんですけど、それって全部ジュノの勘違いじゃないでしょうか。
というのも、人って人が良く見えるし、人と比べていちいち凹みます。
だって、それが人間だもの。
そして、一番悩む時期が大人になる一歩手前の高校時代なんじゃないでしょうか。
ある日、悩んだジュノが父親に相談した時に、父親はジュノにこう言います。
ただ目の前にあることを理由をつけずにやってみなさいと。
結果なんて自分ではどうすることも出来ないし、先に結果を考えるから不安になるんだと。
心配しなくても学歴ってそれほど重要じゃないし、これから先は学歴よりも実力が重要視される分野が増えていく。
だから、今はあまり考えずに、できるだけ人生を楽しめと。
この発言が、この本の一番のメッセージだと思いました。
とにかく将来に悩むかもしれない、日々の生活に価値を見出せないかもしれない。
人が素晴らしく見えるかもしれない、他人に嫉妬するかもしれない。
だけど、その気持ちは誰でも持っているもので、そういう気持ちを経て人は成長するんじゃないかなと思います。
なので、悩む時間があるなら全力で生きなさい、全力で人生を楽しみなさいと。
そして、もう一つ大事なこと、それは仲間なんだと思いました。
新たな自分の生きる道を見つけてそれに向かって進んでいくユビン。
学校内で同じ仲間として勉強やサークル活動などを頑張る親友のゴヌなど。
仲間と切磋琢磨して充実した楽しい時間を過ごすことが、高校生活で重要なことなんじゃないかなと感じました。
そして、その思いがジュノに伝わって理解したからこそ、最終的にこの学校に残る決心をしたんじゃないかなとそう思いました。