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【第72回 中学校の部 課題図書】落合由佳 作「君の火がゆらめいている」書評

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今回は読書感想文全国コンクールの課題図書(中学校の部)を紹介したいと思います

君の火がゆらめいている / 落合由佳 作

こちらの本は、2025年に講談社より出版されました、落合由佳 作君の火がゆらめいているです。

この記事を読んで分かること
  • 青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の概要
  • 「君の火がゆらめいている」のあらすじ、本を読んだ感想
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青少年読書感想文全国コンクールの課題図書

こちらの本は、第72回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書となっています。

課題図書は「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中学校」「高等学校」に分かれており、「君の火がゆらめいている」は「中学校の部」の課題図書です。

■小学校低学年の部

題名著者出版社
まこちゃんとコトバロボ村上しいこ 作
たんじあきこ 絵
佼成出版社
なにかいいことあった?ミーシャ・アーチャー 作
石津ちひろ 訳
BL出版
ララのまほうのことばグレーシー・ジャン さく
やのあやこ やく
工学図書
たねはいのちのおわりとはじまり鈴木 純 著ブロンズ新社

■小学校中学年の部

題名著者出版社
まだまだここから宇佐美牧子 作
酒井 以 絵
ポプラ社
それからぼくはひとりで歩くアリシア・モリーナ 作
星野由美 訳
犬吠徒歩 絵
ほるぷ出版
おいしいお米をつくりたい!:ゆうちゃん、小学生で農家に弟子入りしました谷本雄治 著汐文社
宇宙でウンチ:みんなの知らない宇宙トイレのひみつA.ボンドー=ストーン、C.ホワイト 作
L.ケンセス 絵
千葉茂樹 訳
あすなろ書房

■小学校高学年の部

題名著者出版社
ポジション!高田由紀子 作岩崎書店
リヒト!イノウエミホコ 作文研出版
ミシュカエドワルト・ファン・デ・フェンデル 、アヌッシュ・エルマン 作
アネット・スカープ 絵
野坂悦子 訳
静山社
キミの一歩アフリカ:ゾウを食べるにはひと口ずつ味田村太郎 文あかね書房

■中学校の部

題名著者出版社
君の火がゆらめいている落合由佳 作講談社
チーム・テスならだいじょうぶカービー・ラーソン&クイン・ワイアット 作
杉田七重 訳
鈴木出版
リュウグウの砂に挑む:チームで小惑星のサンプルを分析伊藤元雄 著くもん出版

■高等学校の部

題名著者出版社
スウィッシュ!藤ノ木 優 著徳間書店
ノアハム・ガーデンズの家ペネロピ・ライヴリー 著
斎藤倫子 訳
ゴブリン書房
平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年早志百合子 著毎日新聞出版
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「君の火がゆらめいている」のあらすじ

小学六年生の葉澄は、発達障害のある双子の姉・菜々実の通院や学校への送り迎えを手伝いながら生活しています。

葉澄は家族のためにがんばろうという気持ちはあるものの、自分のしたいことを我慢することが多く、心の中には少しずつモヤモヤがたまっていきます。

友達と遊びたい日でも、ひとりでゆっくりしたいときでも、いつも姉が優先される生活に疑問を感じながらも、それを口に出すことはできません。

そんな中で、同じように障害のあるきょうだいを持つ子どもたちが集まる「きょうだい会」に参加することになります。

そこで恵太という同年代の男子と出会います。

恵太は明るくて話しやすい性格で、葉澄は次第に心を開いていきますが、恵太もまた障害のある弟を持ち、表には出さない複雑な気持ちを抱えていました。 

葉澄は恵太と話す中で、自分だけがつらいわけではないことに気づき、少しずつ自分の気持ちを見つめるようになります。

また、以前けんかしてしまった友達との関係についても考えるようになり、人とのつながりや自分の本当の気持ちについて悩み続けます。

家族のことが大切だからこそ、自分の気持ちを後回しにしてきた葉澄ですが、このままでいいのか、自分の未来をどうしたいのかという問いが少しずつ大きくなっていきます。

きょうだいとして支え続けることが本当に正しいのか、それとも自分の人生を大事にしてもいいのかという気持ちの間で揺れ動きながら、葉澄は少しずつ変わっていきます。 

そして、恵太との関係や家族との関わりの中で、葉澄は今まで抑えてきた感情と向き合うことになります。

葉澄は、自分の中にある本当の思いに気づいていきますが、それはこれまでの生活を大きく変えるかもしれない選択にもつながっていきます。

家族への思いと自分自身の気持ちの間で揺れ続ける中で、葉澄は、これから先どのように生きていくのかを考えなければならない状況へと進んでいきます。

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「君の火がゆらめいている」を読んだ感想

とても残酷な話だと思いました。

この作品では、発達障害のある姉を支える家族の様子が描かれていますが、そこには悪い人がほとんど出てきません。

家族は姉のために一生懸命行動していますし、主人公の葉澄も家族を大切に思っています。

あまり関わらないでおこうと障害者の家族を遠巻きに見る人、大変だよねと同情した気持ちで接する人、みんないい人なんだと思います。

誰も間違ったことをしていないのに、ただ家族が障害者だという理由だけで、みんな苦しんでいるところがとても悲しいと思いました。

もし誰かが悪いことをしているなら、「この人が原因だ」と簡単に考えられますが、この物語ではそうではありません。

それぞれが相手を思って行動しているのに、うまくいかない場面が多く、その現実がとても重く感じられました。

この本は、障害者を持つ家族の視点で物語が描かれています。

これまで障害のある人本人の苦労については考えたことがありましたが、その家族がどのような気持ちで生活しているのかについては、あまり深く考えたことがありませんでした。

この作品では、主人公が自分のやりたいことを我慢したり、周りに気を使ったりしながら生活している様子が描かれていて、家族にも大きな負担や悩みがあることを知りました。

また、主人公は家族を嫌いなわけではなく、むしろ大切に思っているからこそ、自分の本当の気持ちを言えずに苦しんでいるところがとてもつらいと感じました。

主人公は健常者ですが、障害者の家族として周囲から特別な目で見られることもあり、自分も差別される側にいるような感覚を持っていたのではないかと思いました。

普通に生活したいと思っていても、周囲から勝手に決めつけられたり、気を使われたりすることがあり、そのたびに複雑な気持ちになっていたのではないかと感じました。

障害のある本人だけではなく、その家族もまた苦しみや葛藤を抱えていることを知り、その気持ちは簡単には理解しきれないほど大きなものなのだろうと思いました。

どうすれば健常者と障害者がもっと良い形で暮らしていけるのでしょうか。

今の社会では、まだ障害に対する理解が十分ではなく、本人や家族が無理をしながら生活している場面も多いのではないかと思います。

ただ助ければよいというわけではなく、お互いのことを理解し、自然に支え合える社会が必要なのではないでしょうか。

この作品は、障害についてだけではなく、人と人が分かり合うことの難しさや大切さについても考えさせられる本だったと思います。