
今回は読書感想文全国コンクールの課題図書(高等学校の部)を紹介したいと思います
平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年 / 早志百合子 著
こちらの本は、2025年に毎日新聞出版より出版されました、早志百合子 著「平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年」です。
- 青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の概要
- 「平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年」のあらすじ、本を読んだ感想
青少年読書感想文全国コンクールの課題図書
こちらの本は、第72回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書となっています。
課題図書は「小学校低学年」「小学校中学年」「小学校高学年」「中学校」「高等学校」に分かれており、「平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年」は「高等学校」の課題図書です。
■小学校低学年の部
| 題名 | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| まこちゃんとコトバロボ | 村上しいこ 作 たんじあきこ 絵 | 佼成出版社 |
| なにかいいことあった? | ミーシャ・アーチャー 作 石津ちひろ 訳 | BL出版 |
| ララのまほうのことば | グレーシー・ジャン さく やのあやこ やく | 工学図書 |
| たねはいのちのおわりとはじまり | 鈴木 純 著 | ブロンズ新社 |
■小学校中学年の部
| 題名 | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| まだまだここから | 宇佐美牧子 作 酒井 以 絵 | ポプラ社 |
| それからぼくはひとりで歩く | アリシア・モリーナ 作 星野由美 訳 犬吠徒歩 絵 | ほるぷ出版 |
| おいしいお米をつくりたい!:ゆうちゃん、小学生で農家に弟子入りしました | 谷本雄治 著 | 汐文社 |
| 宇宙でウンチ:みんなの知らない宇宙トイレのひみつ | A.ボンドー=ストーン、C.ホワイト 作 L.ケンセス 絵 千葉茂樹 訳 | あすなろ書房 |
■小学校高学年の部
| 題名 | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| ポジション! | 高田由紀子 作 | 岩崎書店 |
| リヒト! | イノウエミホコ 作 | 文研出版 |
| ミシュカ | エドワルト・ファン・デ・フェンデル 、アヌッシュ・エルマン 作 アネット・スカープ 絵 野坂悦子 訳 | 静山社 |
| キミの一歩アフリカ:ゾウを食べるにはひと口ずつ | 味田村太郎 文 | あかね書房 |
■中学校の部
| 題名 | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| 君の火がゆらめいている | 落合由佳 作 | 講談社 |
| チーム・テスならだいじょうぶ | カービー・ラーソン&クイン・ワイアット 作 杉田七重 訳 | 鈴木出版 |
| リュウグウの砂に挑む:チームで小惑星のサンプルを分析 | 伊藤元雄 著 | くもん出版 |
■高等学校の部
| 題名 | 著者 | 出版社 |
|---|---|---|
| スウィッシュ! | 藤ノ木 優 著 | 徳間書店 |
| ノアハム・ガーデンズの家 | ペネロピ・ライヴリー 著 斎藤倫子 訳 | ゴブリン書房 |
| 平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年 | 早志百合子 著 | 毎日新聞出版 |
「平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年」のあらすじ

1945年8月6日、午前8時15分。
広島に原子爆弾が投下されたその瞬間、9歳だった早志百合子の人生は一変しました。
爆心地からわずか1.6キロメートルの自宅で被爆した百合子は、火の海と化した街を裸足で逃げ回り、二又川の土手で野宿しながらその夜を生き延びました。
あの日まで、百合子の家族は戦時下なりに穏やかな日常を送っていました。
幼少期の幸せな記憶、戦時中のひそかな楽しみ、そういった日常が、一瞬にして何もかも消えてしまったのです。
それから6年後の1951年、中学3年生だった百合子は、被爆体験を手記として書くことになります。
その手記は、広島大学教授の長田新氏が1000人以上の被爆した少年少女から集めた証言集『原爆の子』に収録され、戦後間もない日本国内はもちろん、世界中に大きな衝撃を与えました。
その後、1972年には『原爆の子』の執筆者たちが「きょう竹会」というグループを結成しました。
以来、50年以上にわたってきょう竹会は、年に一度広島に集まり、被爆者としての苦悩を分かち合い、励まし合ってきました。
後に会長となった百合子は、バスガイドとして働き、25歳で結婚し、40代で健康体操のインストラクターとなり、被爆者としての重い過去を背負いながらも、前を向いて生きてきた人生を、この本の中で丁寧に振り返っています。
「生き残ったことが後ろめたい」と語る仲間がいる一方で、核廃絶を訴え続ける仲間がいる。
それぞれが80年という長い年月をどう生き抜いてきたのか。
そして、最晩年を迎えた彼女たちが次の世代へ残そうとしているものとは何なのか。
物語はここから、未来へ向けた「遺言」としての章へと向かっていきます。
「平和のうぶごえ:「原爆の子」として生きた80年」を読んだ感想

原爆を題材にした本を読むたびに、毎回心が揺さぶられます。
そして、この本も例外ではありませんでした。
原爆投下直後の描写は、読んでいてこの世のものとは思えないほど悲惨なものでした。
一瞬にして街が消え、人が消え、日常が消える。
そして、そのすべてのしわ寄せを受けるのは、何の罪もない一般市民です。
戦争というものの残酷さ、虚しさを、強く感じさせられました。
さらに胸が痛かったのは、原爆の被害が投下された瞬間だけで終わらないという事実です。
長年にわたってがんや原爆症に苦しんだ方々がいて、体だけでなく差別や偏見にも傷つきながら生きてきた方々がいる。
戦後80年が経ってもなお、苦しみを抱えて生きている人がいるということを、この本は伝えています。
「生き残ったことが後ろめたい」という言葉が、特に長く頭に残りました。
この本を読んで、私たちに何ができるのでしょうか。
私たちにできることは、こういう凄惨な体験を次の世代にきちんと伝えていくこと。
体験者がいなくなっていく中で、言葉として残された証言がどれほど重いものか。
読んでいる自分には想像することしかできないけれど、だからこそ、こういう本を読んで、考えて、誰かに伝えることが必要なんだと思いました。
今まさに、世界各地で戦争や紛争が続いています。
核のない世界、戦争のない世界を「理想だ」と片付けてしまうのは簡単です。
でも、この本に書かれた一人ひとりの人生を読んだあとでは、そう簡単には言えなくなります。
今こそ読まれるべき一冊だと感じました。















